この機会に私の考えをすこし述べます。
マツモムシさんが言われるように、自分のHPでの発表も考えていない訳ではありません。
最終的には、『サイエンス』か『ネイチャー』への投稿を目指しています。
今この場を利用させて頂いているのは、だれでも気軽に読むことができると言う大きな利点があるからです。
ササに関しては、どこに何があるのかと言う「戸籍調べ」も正確な形ではなされていないのが現状です。
それは兵庫県に限らないことだと思います。
例えば、国立科学博物館の「標本・資料統合データベース」にアクセスすると、多くの標本が閲覧できます。
和名のみの入力でもヒットし、拡大してもぶれない高精細画像でじっくりと観察できる、非常に優れたサイトになっています。
そのデータベースでアリマコスズと和名を入力すると、1件ヒットします。
それは、1951年10月19日に岡本省吾氏が神戸市八多で採集したさく葉標本です。
根のついていない4本の稈の標本です。
全体の大きさなどは不明ですが、節上部の膨らみ方と、稈の先端に5枚の葉がつく点からのみ見てもアリマコスズではあり得ません。
管見によれば、ミヤコザサだろうと思います。
純粋種かどうかは不明ですが。
これはほんの1例ですが、ササの標本の同定は概してこのようなことが珍しくないようです。
私自身まだまだ駆け出しに過ぎず、おこがましい限りですが。
ササの場合、自生地を記しても、盗掘によって絶滅するおそれがまずないと考えられます。
むしろその存在を広く知らすことに重要性があるとも言えます。
そのためには、専門家しか読まないような媒体よりも、少しでも興味を持つ一般の方に、その場所のササの名前と特徴をとりあえず知って頂くことに私の投稿が役立てば嬉しいです。
兵庫県南東部に多いスズザサ属の観察を足掛かりにして、兵庫県全域、そして近畿地方、西日本くらいまでのササ類の戸籍調べが出来たらよいと考えています。
ロッコウミヤコの部分開花の観察と六甲山のスズダケの40年後の次回の一斉開花までの追跡はライフワークになりそうです。
画像は金剛童子山のアリマコスズの冬芽を写しています。
撮影は1月上旬です。
稈鞘基部を突き破って冬芽が伸びています。
すでにこの時点で外鞘的に分枝しています。
赤い矢印で示した下の節間を覆う稈鞘(その上端の縁を赤い曲線でなぞっている)が節間より長いため、青い矢印の示す稈鞘に上端が被っています。
こうした節間より長い稈鞘にスズザサ属らしい特徴が出ています。