外鞘的分枝が多く見られるクマザサの群落

  • 神戸の望月
  • 2019/09/07 (Sat) 22:13:39
神戸市立森林植物園に植栽されているクマザサの群落があります。
数千から万に及びそうな数の稈で構成されている群落です。
そのうちの120本の稈を観察したところ、49本の稈で外鞘的分枝様式を確認しました。

クマザサはササ属チマキザサ節の種で、通常は内鞘的に分枝します。
以下にその特徴を見て行きます。

画像は群落の一部を写しています。

Re: 外鞘的分枝が多く見られるクマザサの群落

  • 神戸の望月
  • 2019/09/07 (Sat) 22:22:55
この群落のクマザサは、最大で稈の高さが170㎝、直径が5㎜ほどのものもありますが、120㎝前後の大きさのものが多く、各節でよく分枝しています。
クマザサは、革紙質で光沢のある、両面無毛の葉を枝先に3~7枚くらいつけます。

Re: 外鞘的分枝が多く見られるクマザサの群落

  • 神戸の望月
  • 2019/09/07 (Sat) 22:28:15
葉の基部は円形から切形に近いものもあって、幅は5~6㎝ほどのものが多く、先端はなだらかに細くならず、急に尖った形になります。
葉身の長さは20~25㎝くらいのものが多いです。

画像は幅が7㎝、長さが23㎝の葉です。

Re: 外鞘的分枝が多く見られるクマザサの群落

  • 神戸の望月
  • 2019/09/07 (Sat) 22:30:41
クマザサの稈鞘には、開出長毛が密生し、節の膨らみは少しだけ目立つ程度です。

Re: 外鞘的分枝が多く見られるクマザサの群落

  • 神戸の望月
  • 2019/09/07 (Sat) 22:32:46
クマザサの肩毛は、放射状で粗渋です。

Re: 外鞘的分枝が多く見られるクマザサの群落

  • 神戸の望月
  • 2019/09/07 (Sat) 22:42:47
ここまで見て来た特徴は、通常のクマザサのそれと異なりません。
この群落のクマザサの肩毛は、上の画像のようなチマキザサ節に典型的なものもあれば、ミヤコザサ節で見られるクモが足を伸ばしたような(チマキザサ節より長い)ものもあります。
この画像は、そのミヤコザサ節的な肩毛です。

Re: 外鞘的分枝が多く見られるクマザサの群落

  • 神戸の望月
  • 2019/09/07 (Sat) 22:46:23
葉舌は、チマキザサ節では、通常切形で目立ちませんが、この群落のクマザサの葉舌は、ミヤコザサ節のような低い山形のものも多くあります。

Re: 外鞘的分枝が多く見られるクマザサの群落

  • 神戸の望月
  • 2019/09/07 (Sat) 22:48:25
この画像は、この群落で確認した内鞘的分枝様式の一例です。

Re: 外鞘的分枝が多く見られるクマザサの群落

  • 神戸の望月
  • 2019/09/07 (Sat) 22:51:09
この標本は、2本の本年枝を出していますが、分枝様式は2つとも外鞘的です。

Re: 外鞘的分枝が多く見られるクマザサの群落

  • 神戸の望月
  • 2019/09/07 (Sat) 22:53:44
上の画像の外鞘的分枝①の拡大画像です。
枝が鋭角に出ているため、母稈の稈鞘を押し広げながら、突き破っています。

Re: 外鞘的分枝が多く見られるクマザサの群落

  • 神戸の望月
  • 2019/09/07 (Sat) 22:58:47
外鞘的分枝②の拡大画像です。
やはり、枝が鋭角に出ているため、母稈の稈鞘を押し広げなが突き破っています。
外鞘的な分枝は、クマザサの純粋種ではない可能性を強く示唆しています。

(続く)

Re: 外鞘的分枝が多く見られるクマザサの群落

  • 神戸の望月
  • 2019/09/16 (Mon) 21:25:48
このササに関して、不明な点があるためしばらく続編は保留しておきます。

Re: 外鞘的分枝が多く見られるクマザサの群落

  • 神戸の望月
  • 2019/10/31 (Thu) 00:02:18
このササを、ジョウボウザサを教えて頂いた広島のSさんに、現地で見て頂きました。
その結果ミアケザサであることが判明しました。

ミアケザサは、山口県の植物学者、見明(みあけ)長門氏(1934~1996)が発見し、鈴木貞雄が見明氏にその名を捧げ、1992年に記載しました。
ミネザサも先日紹介したように、同じような命名の由来があり、やはり1992年に記載されています。

ミアケザサは、ササ属アマギザサ節のササで、『日本のタケ亜科植物』によると、山口県、広島県、愛媛県に分布しています。
比較的新しく記載された種と言うこともあって、まだまだ正確な分布は解明されていないのだと思います。
学習の森にクマザサと考えて、植栽と思い込んでいましたが、広島のSさんの、こんなササ植えるはずがないのではというお言葉に納得させられました。
それに、六甲山のように人の手がかなり入った山でササを観察して、それなりに色々なササが生き残っていることが分かると、開発によっても簡単には滅びない種としてのササを知ることが、その地域の植生を明らかにするには重要なはずです。

アマギザサ節の特徴は、稈の中部以下くらいでは、稈鞘の長さが節間の2分の1以下であることです。
10月中旬に稈鞘の破損がほとんどない、高さが80㎝くらいの1年生の稈で、そのことを確認しました。

Re: 外鞘的分枝が多く見られるクマザサの群落

  • 神戸の望月
  • 2019/10/31 (Thu) 00:03:56
上の画像の稈の下部、中部の拡大画像です。

Re: 外鞘的分枝が多く見られるクマザサの群落

  • 神戸の望月
  • 2019/10/31 (Thu) 00:09:18
アマギザサ節では、節(の上部)が球状に膨出します。
このミアケザサの群落では、この画像程度の膨らみのものを多く見ました。
球状に膨出と言って良いかはどうかは分かりませんが、それなりに膨らみが目立っている節もあります。
撮影は10月中旬で、稈鞘の毛はだいぶ脱落しています。

Re: 外鞘的分枝が多く見られるクマザサの群落

  • 神戸の望月
  • 2019/10/31 (Thu) 00:17:00
もう1つ、葉舌が山形であることもアマギザサ節の特徴ですが、それは9月7日の投稿で確認出来ます。

9月7日の投稿で、外鞘的分枝様式が多く見られることも述べましたが、この標本でも、赤い4つの矢印全てが外鞘的分枝様式を示しています。
このミアケザサの下部の節は、球状に膨出しています。
撮影は8月中旬です。

Re: 外鞘的分枝が多く見られるクマザサの群落

  • 神戸の望月
  • 2019/10/31 (Thu) 00:20:24
このミアケザサは、稈高150㎝ほどで、稈の中部以上で盛んに分枝し、最下の分枝節は外鞘的に分枝しています。

Re: 外鞘的分枝が多く見られるクマザサの群落

  • 神戸の望月
  • 2019/10/31 (Thu) 00:22:24
上の画像の最下の分枝節の拡大画像です。
上の画像もこの画像も8月中旬の撮影です。

Re: 外鞘的分枝が多く見られるクマザサの群落

  • 神戸の望月
  • 2019/10/31 (Thu) 00:31:46
外鞘的分枝様式が多く見られるのは、おそらく純粋種でないためで、アマギザサーミヤコザサ複合体(『日本のタケ亜科植物』247頁)である可能性を示唆しています。
この群落に隣接してロッコウミヤコも生えています。
10月中旬の観察で、成長する前の腋芽がすでに稈鞘を破っている様子が確認出来ました。
腋芽が成長し、枝が伸びるにつれて稈鞘を、外鞘的に突き破るのかと考えていましたが、枝が伸びる前に既に稈鞘を押し破っていました。

Re: 外鞘的分枝が多く見られるクマザサの群落

  • 神戸の望月
  • 2019/10/31 (Thu) 00:37:46
このミアケザサの群落では、葉柄基部外側の片側にカルス(いぼ状の膨らみ)が確認出来ました。
推定雑種分類群を識別する目安となるものです。(『日本のタケ亜科植物』100頁)

Re: 外鞘的分枝が多く見られるクマザサの群落

  • 神戸の望月
  • 2019/10/31 (Thu) 00:39:01
カルスの画像をもう1つ示します。
(投稿前に、内容をプレビューして確認できます)