現在、人博の標本庫には30点のサイヨウザサの標本があります。
全て元々は違った種に同定されていた標本を、支倉千賀子氏が近年サイヨウザサと再同定したものです。
管見によれば、三宅氏の花付の標本以外でサイヨウザサと考えられるものは1点もありませんでした。
一例を示します。
この画像の標本は、細見氏が1977年9月23日、朝来郡の段ヶ峰で採ったもので、チマキザサと同定されています。
1995年4月5日に村田源氏もチマキザサと同定しています。
そして2015年7月11日、支倉千賀子氏によってサイヨウザサと同定されています。
枝先に6枚の葉をつけたサイヨウザサは、あり得ないと思います。
それも長さが25㎝もある葉までつけたものは。
サイヨウザサは枝先に2~3枚の葉をつけます。
各器官の特徴を見るまでもなく、サイヨウザサである可能性は全くないと思います。
サイヨウザサもチマキザサも葉裏、稈鞘、葉鞘が無毛です。
この標本は、細見氏、村田氏同様に私もチマキザサだと考えます。
人博には、他にも支倉氏が再同定したアリマコスズやケナシカシダザサの標本がそれなりにありますが、私の目には全て違っているように見えました。